◎避妊について◎

避妊はどうしてますか?

避妊の責任は男にも女にもあるもの。
セックスをするのは男と女のふたりでも、妊娠するのは女ひとり。だから避妊するかしないかは、女性にとって自分のからだに直接関わる重大な問題です。
そして、もし望まない妊娠をしてしまったとき、中絶手術を背負うのは、女性のからだです。
日本では中絶に対して、諸外国と比べると寛容?な風潮があり、「避妊に失敗したらやむなく中絶」と考える傾向にあるようです。
でも、中絶手術で女性が背負う心とからだの負担を考えれば、もっと女性自身が避妊に対して積極的になるべきではないでしょうか。

人工妊娠中絶手術のリスク

中絶手術は、他の外科手術と違って見えない部分の手探り手術。
そのため、子宮に穴をあけてしまったり、ひどい出血を引き起こすなど、決して甘く見てはいけない手術です。
そして傷つくのは身体だけではなく、胎児の生命を奪うという事への罪悪感から精神的なストレスが、病的なものに発展してしまう事にもなりかねません。

怖い中絶手術の後遺症

●習慣性流産

 出産を経験したことのない人の子宮頸管は、かたくてなかなか広がらないもの。
中絶手術のときに、それを急激に広げたりすると、子宮頸管の筋肉に傷がついてしまう。
その結果、筋肉の力が弱くなる頸管無力症になる。こうなると、次に妊娠したときに、頸管の筋肉が胎児の重さを支えられなくなる。
支えられない胎児は、子宮にいることができずに、流産となる。

●不妊症

 手術時に、器具や外陰部の消毒がきちんとされていなかった場合や、手術後に禁じられていた入浴をしたり、不潔にしたりしていると、細菌に感染してしまう。
特に、中絶直後は細菌が子宮内に入りやすい状態にある。
細菌に感染すると、子宮や卵管は炎症を起こす。高熱が出たり、出血、腹痛が続く、お腹がはる等の症状は感染にかかった可能性あり。
炎症を起こした卵管は、つまってしまったり細くなってしまう。そのため、将来なかなか受精することができなくなり、不妊症や妊娠しづらい状態となる。

●月経異常、不正出血

 中絶手術をしたことによって、ホルモンのバランスが不安定となっている。そのために、生理が正常な状態に戻らなくなる場合がある。
手術後2〜3月経っても始まらなかったり、月経予定日でもないのに出血したりと、中絶による精神的ストレスが原因になっていることもある。

●子宮外妊娠

 不妊症と同じように、細菌感染によって起こる。
細菌感染した卵管か炎症を起こすと、通過障害や運動異常を招く。そのために、受精卵の輸送ができなくなり、途中で止まってしまう。
途中で止まってしまった受精卵は、卵管で胎芽し、胎児となって成長し始める。これが子宮外妊娠で、ときに命にかかわるほど危険な状態をも招く。

いろいろな避妊法

●コンドーム

 いくつかある避妊法の中で、日本では男性主導のコンドームが最も主流。
性病予防もできて手軽で簡単とメリットも多いが、避妊失敗率12%と意外と高い。
正しく使わないと避妊法として確実ではないので注意。男がつけるものだからといって、任せきりにしないで、女だって正しいつけ方ぐらいは知るべきでしょう。

●基礎体温法

 毎朝体温を測り、微妙な体温の変化でわかる安全日と危険日。
しかし、不規則な生活の人には不向き。
そして、ちょっとした体調の変化でも影響を 受けてしまう基礎体温だから、他の避妊法と併用したほうが賢いでしょう。

●フィルム、ゼリー、錠剤

 共通点は3つとも殺精子剤という精子を殺す薬でできている。
セックスの前に膣の中に入れておき、精子が子宮に行くのをストップさせてしまう方法。
所が、薬の有効時間内にセックスを終えなければならない。体位によっては流れてしまうなどの弱点も。単独で避妊しようとするのは危険です。

●IUD

 子宮の中に器具を入れて、受精卵の着床を防ぐIUDは、避妊率95%と高く、1度入れれば2〜3年そのままでOKというもの。
しかし、誰でも使えるというわけでなく、子宮口のかたい出産経験のない人には向かない。
また、出産経験があっても月経量が多い、子宮筋腫があるなどの人には使えません。

●ピル

 ホルモン配合の錠剤を月21日間服用し、妊娠した時と同じホルモン状態をつくりだし、脳に妊娠させたと思わせてしまう。
妊娠中は、卵巣 や胎盤から黄体ホルモンが多量に分泌される。このホルモンが排卵を促すホルモンの分泌を止める働きをするので、これ以上は妊娠しないという状態になる。
避妊率99.9%と最も避妊効果の高い方法である。

海外の避妊法あれこれ

●ついに出た女性用コンドーム。ヨーロッパでは、すでに発売中。

 この女性用コンドームの良い点は、なんと言っても女性側が自主的に装着できる避妊具だということ。
コンドームをつけるのに積極的でない男になんてあてにしないで、女性自身がきっちり避妊して身を守る、当然の開発品といえるでしょう。
形は直径7p、長さ7pのポリウレタン製の筒型の袋で、入り口にポリウレタンの輪がついている。
膣内に固定するために、袋の中にもう一つ輪がついている。性交前に膣内に装着して殺精子ゼリーを塗っておき、この中にペニスを入れてセックスする。

●アメリカで人気、殺精子剤を含ませたスポンジを膣内に入れる方法。

 特殊な素材のスポンジには、あらかじめ殺精子剤が含ませてあって、女性は性交前にそのスポンジに薬液を吸わせ、膣の中に入れておけばOK。
ただし、スポンジとはいえ膣内に入れておくわけだから、膣が浅くなるのは確か。
でも日本で市販されている、殺精子剤を使った避妊フィルムやゼリーなんかに比べると、膣から流れ出たりする心配がなくていいかも。

亢進国などでは、カプセルを腕に埋め込む避妊薬も。

 これは、合成ゲスタゲンというホルモン剤を直径2.4oの特殊カプセルに入れて、それを上腕の皮膚に6本埋めておく、ノルプラトンというもの。
原理はピルとほとんど同じだが、なんといってもラクなのは毎日飲まなくてもいいということ。
そして1度埋め込むと、効果は約5年間も持続するというからすごい。副作用は無月経や不正出血があるなどピルと同じ。

注射1本で効果は3ヶ月。人口問題に悩む国では広く使われている。

 毎日飲まなくては避妊効果のないピルより、もっと簡単で手間のかからない避妊法として開発されたのが、合成ゲスタゲンというホルモン剤を3ヶ月に1回注射する方法。
とても便利だけれど、副作用として不正出血や無月経がある。
アメリカでは、発ガン性や胎児への影響の問題が指摘されて、避妊薬としての使用が見合わされたが、人間には大丈夫として最近になって許可が下りた。
東南アジアでは大々的に使われているが、日本で避妊薬として認可される可能性はない。

世界の避妊法の主流は女性主導型のIUDや経口避妊薬

 世界で最も多く用いられている避妊法は、IUDで、およそ1億人以上のがこれに頼っています。
次に多いのはピルで9000万人の女性が服用しています。ピルに次いで多いのは避妊手術です。
これらはすべて女性自らが選択して行えるものばかりで、しかも避妊効果の確実なものです。
一方、日本ではどうでしょうか。
男性主導のコンドームが主流で75〜80%も占めています。
最も確実な避妊法として世界中に普及しているIUDとピルについては38%と3%と、避妊は男性がするものという依存型のようです。

ピル

 ホルモン配合の錠剤を月に21日間服用し、妊娠した時と同じホルモン状態をつくり出し、脳に妊娠させたと思わせてしまう。
妊娠中は、卵巣や胎盤から黄体ホルモン、卵胞ホルモンが多量に分泌される。このホルモンが排卵を促すホルモンの分泌を止める働きをするので、これ以上は、妊娠しないという状態になる。
避妊率99.9%と、もっとも避妊効果の高い方法である。

いろいろある避妊法の効果を実際のデータで見てみましょう。
次の表は、アメリカのピルの添付文書に記載されている避妊失敗率です。
それぞれの避妊法を1年間行った結果、100人の内何人の女性が妊娠したかを示したものです。この調査結果によるとコンドームでの失敗率は非常に高いことがわかります。
そして、ピルの確実性をみると最も良い避妊法だということもわかります。

各種避妊法使用開始1年間の避妊失敗率(妊娠率)
経口避妊薬(ピル/配合剤)
黄体ホルモン単独剤(日本未発売)
女性避妊手術0.4%
男性避妊手術0.1%
IUD2.0%
コンドーム12%
ペッサリー18%
殺精子剤21%
リズム法(オギノ式)20%
避妊せず85%

ピル服用のメリット

●ホルモンバランスが整えられ、肌の調子も良好に

 女性の皮膚は卵胞ホルモンによって、みずみずしさが保たれているのです。
お化粧ののりが悪くなったりカサカサしてきたりするのは、ホルモンバランスが悪くなっていることが一つの原因です。
からだに合ったピルを服用することによって、ホルモンバランスが整えられ、肌がカサカサになることもなく、かえって潤いが出てくるでしょう。

●消退出血(生理と同じ様な出血)の周期は自由にかえられる

 ピルを使用すると、今までの月経と違って経血量が少なくなったり、月経痛も軽くなったりします。
そしてこの消退出血の時期が旅行などに当たる場合、服用を休まずピルを飲み続ければ、出血の時期を遅らせることができます。
そして、その旅行などが終わったら7日間服用を休めばよいのです。このようにピルで周期を自由にかえられることさえできるのです。
だからといって、むやみにかえてよいというものではありません。

●女性特有の病気に予防効果がある

 ピルに含まれる2種類のホルモンによってホルモンバランスが整えられるため、子宮内膜ガン、子宮筋腫、子宮内膜症の予防効果が疫学的調査で報告されています。
ピルを服用することによって、卵巣は休んだ状態になり、卵巣ガンや卵巣嚢腫の予防に効果があるといわれています。

●思春期や更年期に特有の症状を改善する

 初潮をむかえた思春期の女性のホルモンのバランスが乱れがちによる、月経周期が不順、月経痛が激しい、ときとして男性ホルモンが優位に分泌していたりするためにニキビや多毛で悩む人は、低用量ピルを飲むことによってホルモンバランスを症状を改善することもできます。
また、35歳をピークに卵胞ホルモンの分泌は減少し、ホルモンバランスが乱れることによって起こる更年期障害も、ピル服用によりホルモン補充療法的な効果が期待でき、ホルモンバランスを整えて症状を軽くすることができるのです。

ピルの種類

ピルはエストロゲン剤(卵胞ホルモン)の配合量によって3種類に分けられます。

0.05mg以上高用量ピル
0.05mg中用量ピル
0.05mg以下低用量ピル

 一般にピルといえば「低用量ピル」を指し、副作用を抑えるため確実に避妊できる限界までホルモン量を下げたものです。
今日、世界で広く使用されているピルはこの低用量ピルです。諸外国では自由に薬局などで入手することができます。

 日本では、今までピルは避妊薬としては認可されておらず、「中・高用量ピル」を医師の指示のもとで月経困難症などの治療薬として扱われ、便宜的に避妊薬代わりに使っていました。
入手方法は、ピルは要指示薬のため医師の処方が必要となります。
費用の方は、避妊としてのピル処方は健康な女性が飲むものですので、健康保険の医療行為にはなりません。
保険の対象外で、医師の自由診療行為となりピルの薬剤料に処方時の検査料や指導料的なものを加算した金額が請求されることになります。

ピルの服用方法

 どんな薬もそうですが、効き目を確かにするには1日1回、時間を決めて飲みましょう。
ピルの薬効は24時間は充分に持続するようになっていますから、毎日できるだけ同じ時間に飲むことが大切です。(少々の時間のずれは大目にみてもかまいませんが。)
1周期分の1シートにパックされているピルの数は21錠と28錠入りがあります。

●21錠入りタイプ

 毎日1錠ずつ、21日間飲み続け、その後7日間服用を休みます。そして8日目からふたたび毎日1錠ずつ飲みます。
これを繰り返していきます。
7日間の休薬期間に月経と同じような出血がみられます。
ピルを正しく飲んでいると、月経周期はちょうど28日の規則正しい周期になります。
初めてピルを飲む人は、低用量ピルの場合、月経がはじまった日から飲みはじめます。
そしてこの日から確実に避妊ができます。
月経の出血量は今までと同じですが、3〜4日目ころから次第に少なくなり、やがて出血も止まるでしょう。
人によっては7〜8日間、少量の出血が続く場合もありますが、ピルを飲み続けるうちになくなるので、気にしないで飲み続けて下さい。

 中・高用量ピルは月経の5日目から飲み始めるのに対して、低用量ピルは月経初日から飲み始めなければなりません。
なぜなら、月経期間中すでに始まる次の排卵準備を、中・高用量なら5日目でも確実に卵胞の発育を抑えることができるのですが、低用量となると、そのホルモン用量が少ないため、初日からでないと100%抑えることができません。
ですから飲み方を間違えると避妊効果が低下することにもつながりますので、注意が必要です。

●飲み忘れを防ぐ28錠入りタイプ

 7日間の休薬期間が終わって、8日目に次のピルを飲み始めるときの飲み忘れを防ぐために、28錠入りシートがあります。
色または形の違うピルが7錠分入っています。
この7錠は、7日間の休薬期間のために用意されたホルモン剤の入っていない偽薬です。これなら飲んでも休薬していることと同じことになり、28錠すべて飲み終えたら、また次のシートへすすみます。
つまり毎日休まず1錠ずつピルを飲み続けることによって、休薬期間後の飲み忘れを防ぐのです。
飲み忘れることがないという人は、この7錠の偽薬は飲まずに休薬期間をとっても、いっこうに差し支えはありません。

飲み忘れたときの対処法は?

 もし飲み忘れてしまった場合は、経過時間によってその後の飲み方が違ってきますので、あわてずに何時間経っているかを計算しましょう。

●24時間以内

 気がついた時点ですぐに1錠を飲みます。
そして、その日に飲む予定のピルは定刻に飲み、翌日からは普通どおりに服用します。
ただし、飲み忘れが服用期間の前半(1〜7日目)場合は念のために他の避妊法を7日間だけ行います。

●24〜48時間以内

 気がついた時点ですぐに2錠を飲みます。次に飲むピルは定刻に飲み、翌日からは普通どおりに服用します。
ただし、飲み忘れが服用期間の前半(1〜7日目)の場合は必ず他の避妊法を7日間だけ行います。
まれにスポッティングのような少量の出血がみられることがありますが、すぐに治まるので気にしなくてもよいでしょう。
でも、服用期間の後半(15〜21日目)で出血量が多い場合は、その時点で服用をやめ、7日間休薬して、8日目から次の新しいシートのピルを飲み始めるようにしましょう

ピルの副作用 -低用量ピルなら、今までの副作用の心配解消-

 ピルも薬ですから個人差もありますが、不快感や副作用を伴います。
その多くは妊娠初期に起こるものとよく似ていて、代表的な症状は悪心や嘔吐で、つわりによく似ています。これはホルモン環境が変化したことが原因ですので、多くの場合飲み慣れることによって次第になくなっていきます。
また、乳房緊満感やむくみ、体重の増加などを訴える人もいますが、低用量ピルはこうした副作用はかなり軽減されています。
ただ、中・高用量ピルから低用量ピルに切り替えるような場合に、不正性器出血が起こることがあります。これはホルモン用量が減少したために起こるものですが、飲み続けることによって次第に消失していきます。

ピル服用に対する疑問あれこれ

●後遺症の心配は?

 ピルの服用を中止して3ヶ月後には、90%以上の女性に正常の排卵性月経が認められます。
中・高用量ピルを長期間服用すると妊娠しにくいと指摘されていましたが、低用量ピルではさほど問題にする必要はありません。 むしろ軽度の排卵障害により不妊症に悩む女性に対し、3ヶ月ほどピルを服用させ排卵を抑制した後、 服用をやめることにより下垂体からの卵胞刺激ホルモン分泌を増加させ、排卵を促す方法をとることもあるくらいです。
また、長期服用後ピルをやめて妊娠すると自然流産や胎児奇形の発生率が高まるといった証拠もありません。